サッカー部 MUSANISTA #89 『忘れるな』

 

 

『夜20時の拍手』にみんなで力を合わせませんか?

~ 新型コロナウイルス感染拡大防止の為に私たちを支えてくれている人たちへの感謝と励ましの気持ちを込めて~

 

 

<原発事故の教訓生かせ>~人間性を忘れるな~

 「デジャヴ(既視感)」。新型コロナウイルス感染症の拡大と政府の対応や世論の動き、社会の反応を見ていると、どうしても東京電力福島第一原発事故の対応が重なって見える。

 私は感染症専門家ではないので感染症対策の是非を論じることはできない。ただ2011年当時、政府の一員として原発事故を経験した者として「あの時の教訓が生かされているのか」との視点から、現下の危機への示唆を考察してみたい。

教訓1「命を守る」を最優先に

 いま最も大事なことは何か。危機に際し、国民の命を守ることの重要性は何よりも優先されるべきだ。これは国民あるいは社会全体への「リスクを最小化する」と言い換えることもできる。問題は、あるリスクを最小化させる施策が、別のリスクを高めることにつながる可能性がある点だ。その結果「リスクのトレードオフ(相殺)」や「バランス」を考慮する傾向が伴う。「リスクのトレードオフ」は価値観の差異や、政治力学が作用するため、政策決定者の判断が揺らぎがちになる。国民よりも「経済を守る」、ましてや「政権を守る」といった間違った基準で危機管理対策を取られては、何をかいわんやだ。

 具体的には、命を守る対策の経済コストに配慮して対策の実施を引き延ばしたり、その実効性を担保するためのコスト負担をためらったりしてはならない。例えば、今回のように事業者や住民に自粛要請をするのであれば、その影響に対する「補償」はセットで考えなければならない。「経済対策」ではなく、命を守るためのコストとして考えるべきだ。原発事故対応の時も、汚染水処理に見るように、最もリスクを下げる案よりも当面のコストを最小化する案が採用されることがしばしばあった。そうした対策が結果的に、リスク最小化にならなかった反省が生かされていないのではないか。

教訓2「代替案」を検討せよ

 安倍晋三首相は新型コロナウイルスに対処する改正特別措置法に基づき、緊急事態宣言を出したが、これがあたかも「最後の切り札」かのような印象を与えた。しかし、緊急事態宣言はあくまでウイルス対策を有効に進める「手段」であって「解決策」そのものではない。果たして今回の緊急事態宣言で示されたさまざまな施策について、同じ目的を達成することのできる代替案は十分に検討されたのだろうか。2月末に首相が突然表明した一斉休校要請も代替案を検討した気配がない。危機管理に追われる中で代替案の検討は本当に難しい。時間的余裕がない状態で意思決定を迫られると「実現可能な策」から実行していくしかない面もある。だが、今回の緊急事態宣言まで時間的猶予は十分あった。原発事故の際もさまざまな制約条件の下、代替案の検討がおろそかになることがあったが、その反省が生きていないというのが実感だ。

教訓3「世界の英知」を活用せよ

 新型コロナ対策は一国だけで解決しようとしても無理だ。感染症対策には世界の英知と国際協力が必須だからだ。各国の事情が異なる点を考慮しても他国の対策が参考になることは多いだろう。原発事故の対応で私が最も重要と感じたのが、世界の英知を集めることだ。実際、世界の専門家や産業界から日本に対し多くの助言や援助の申し出があった。ところが「日本の問題は日本で解決すべきだ」といった心理が働いたのか、廃炉の措置も真に世界の英知を活用できる体制が構築できたとは思えない。

 新型コロナ対策も同様だ。PCR検査が日本では海外に比べ極端に少ない。本来なら検査数を増やすことが原則であり、世界保健機関もそう勧告していた。世界で検査をかなりのスピードで実施している国々の知見から学ぶこともできたはずだ。日本の特殊な事情があるからといって、PCR検査の数を抑制すれば、結果的に守るべき命が守れなくなる。リスク最小化や代替案の比較の教訓とともに、是非、世界の英知を活用してもらいたい。

教訓4「科学顧問組織」設置を

 危機に際してはなおのこと、政策には科学的根拠が不可欠だ。多様な選択肢の中でどれを選ぶべきか。その根拠となる科学的知見が欠けていると、政策の実効性は保証されない。そのためには、専門知を政策に有効に反映させる体制が鍵となる。新型コロナ対策で政府が設置した専門会議は、その独立性と権限が担保されていないように見える。

 原発事故の時、参考として紹介されたのが、英国の「緊急時科学顧問会議」だ。これは英国が牛海綿状脳症(BSE)事件の後、科学と政策の関係を改善するために設置した機関だ。首席科学顧問が危機に際して最も有効と思える専門家を集め、独立した立場から政府に助言を行う。日本も独立した権限を持つ同様の科学顧問組織を早急に設置すべきだ

教訓5「透明性と信頼性」の確保を

 最後に最も大切なのが、政策決定の透明性とその信頼性だ。原発事故時に私が痛感したのは、原子力政策に対する「信頼の喪失」だった。国民の信頼が得られなければ、どんなに良い政策でも実効性は乏しい。だからこそ、意思決定プロセスの透明化、そのための徹底した情報公開、市民やマスコミの質問に丁寧に答える双方向の「リスクコミュニケーション」が絶対的に重要なのだ。そして、代替案や科学的根拠を明示し、専門家の知見を反映させる意思決定プロセスが不可欠となる。

 

 以上、福島事故の教訓から、今回の新型コロナ対策を俯瞰してみた。失敗しないようにすることは大事だが、失敗から学ぶことがもっと大事だ。今こそ原発事故の教訓を生かしてもらいたい。そして、1954年のビキニ水爆実験後に核兵器と戦争の根絶を訴えた「ラッセル・アインシュタイン宣言」の有名な一節を想起してもらいたい。

「人間性を忘れるな、他のすべてを忘れても」

5月18日 埼玉新聞 元原子力委員会委員長代理 鈴木達治郎氏 より

 

 

<首都圏の「自粛解除は一体」で 4知事テレビ会議で確認>

 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の4知事は19日、新型コロナウイルスの対応を巡ってテレビ会議で意見交換し、緊急事態宣言に伴う外出自粛や休業要請の解除について、各都県の感染状況にかかわらず、一体となって実施する方針を確認した。

 政府の専門家会議が示した緊急事態宣言解除の判断基準のうち「直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人未満程度」を18日までに埼玉、千葉両県が達成。東京都と神奈川県はクリアできておらず、対応が焦点となっていた。東京都の小池百合子知事は「解除に向け、足並みをそろえながら進めたい」と述べた。

5月19日 共同通信 記事より

 

 

<大阪、京都、兵庫、21日に緊急事態解除検討>

 政府は19日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」を継続している8都道府県のうち、大阪、京都、兵庫の近畿3府県について、宣言を解除する調整に入った。いずれも直近1週間の新規感染者数が基本対処方針で示した人口10万人当たり「0.5人程度以下」の基準を満たしており、21日の政府対策本部で最終的な状況を見極めて正式決定する見通しだ。

 一方、基準を上回る北海道と東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏1都3県の解除は見送られる公算が大きい。見送りが決まった場合、政府は28日に改めて解除の可否を判断する。埼玉、千葉両県の10万人当たりの新規感染者数は0.3人程度にとどまっているが、東京、神奈川は0.8~1.1人程度と基準を上回っている。政府は首都圏4都県は社会・経済活動の関係が互いに深いことから、解除の可否は一括で判断する方針。北海道も10万人当たりの感染者数が0.9人程度と基準を超えており、5都道県の解除は以前難しい状況だ。

 宣言が解除されれば、都道府県知事による外出自粛の要請は解かれる。ただ、政府は「感染第2波」への警戒から、月内の県境を越えた移動や、これまでにクラスター(感染者集団)が発生している夜の繁華街の接待を伴う飲食店やカラオケ、ライブハウスなどへの出入りは引き続き控えるよう呼び掛ける方針だ。

5月19日 毎日新聞 記事より