MUSANISTA -活動日誌-

サッカー部 MUSANISTA #133 『 新人戦に向けて 』

 新型コロナウイルスの感染対策で延長されていた新人戦の日程が、2/11(木)、14(日)、20(土)に決定しました。対戦相手は、初戦が秋季大会で敗戦を喫した「与野高校」、勝ち上がれば、グラウンドも近く昨年練習試合をしていただいた「埼玉栄高校」となっています。まだ、グラウンド、日時などは決まっていませんが、'FC MUSASHINO'も再開の日に向け、準備を進めています。生徒の方からも「テレビで試合を見ていたら、試合をしたくなってきた」という声や、「自主練で鍛えたので、試合で活躍する姿を見てほしい」という声も聞こえてきて、モチベーションの高まりを感じます。日々の「Self Training Note」を見ながら、再開の日に向けてアドバイスしつつ、再開の日を待ちたいと思います。
 新人戦が決まれば、大会2週間前から部活動が再開できます。初戦が2/11(木)に決まれば今週末金曜日から、2/14(日)に決まれば週明けの2/1(月)から活動することができることになります。
 思えば昨年末、冬休みに入ってから練習ができなくなりました。10日間練習ができず、新人戦開始の予定であった1/16(土)の2週間前にあたる1/4(月)に練習を再開。しかし、5日間練習したのみで1/8(金)には新人戦の延期が発表され、て再度部活動中止に。今回は、まるまる3週間の部活動中止を余儀なくされました。
 その中で、生徒には「Self Training Note」を課し、『新人戦は準備をしっかりとできたチームが勝つ』と話をしながら、自主トレーニングを指示してきました。生徒が「いまかいまか」と待っていた部活動再開ですが、スタッフの我々も「いつからできるのか」と楽しみにしておりました。大会が決まりましたので、何もなければ早ければ金曜日から、部活が再開できます。今までできなかった分、間が空いて感覚が鈍ってしまった分、急ピッチで新人戦に向け準備してまいります。


 昨年は人数が少なく8人で戦い、いい試合をしながらも残念ながら一勝も挙げられなかった新人戦。

 参考URL;
 https://om-h.spec.ed.jp/blogs/blog_entries/view/311/246abea7a481a3d499e4053bedc4f9c5?frame_id=283

 今年は部員が増え、11人揃って戦うことができます。「コンディションが悪かった」や「練習不足だった」という後悔がないよう、全力で準備してまいります。応援よろしくお願いします!

 

【連絡】
 今回の新人戦ですが、新型コロナウイルス感染予防のため、観戦・応援が認められていません。結果はHPでお知らせいたしますので、結果を楽しみにしていてください。いい結果をお伝えできるよう、選手・スタッフ一同全力を尽くしてまいります。よろしくお願いします。
 

 

サッカー部 MUSANISTA #132 『 川崎のバンディエラ part2 』

 

 “決断のスポーツ”サッカーでは、限られた時間の中で常に最善の選択を求められる。その重要なプレー選択の場面で、日本屈指の存在である司令塔、中村憲剛の目にはどんなビジョンが映っているのか――。

 一つのプレーを選択する際に考慮するファクターや行っている準備、選択する際の判断基準などを教えてくれた前編(part1)に続き、この後編では中村憲剛が外から見てプレーに優れていると感じる選手、そして状況に応じたプレー選択の切り替え方を、実際のプレー動画を通して解説。トップアスリートの思考回路をのぞいてみてほしい。

 

 

――海外サッカーにも詳しい憲剛さんから見て、決断力が優れていると感じる選手は誰でしょうか?

 「世界トップレベルの選手たちは、みんな凄いと思います。その中でも、自分のポジション柄、目が行くのは中盤の選手のプレー選択ですね。いろいろなことを考えながら、その瞬間瞬間でベストな決断をしているなと。名前を挙げるとしたら、バルセロナのブスケッツとか、レアル・マドリーのカセミロとかでしょうか」
――どちらもアンカーと呼ばれるポジションの選手ですね。プレースタイルとしては、そんなに派手なことをやるタイプじゃないと思うのですが。

 「ブスケッツこそが、バルセロナのサッカーの肝だと思います。何気ないパスなんだけど、2手、3手先まで考えて出しているんだというのがわかる。ブスケッツがパスを出した後に『あれはそういうことだったのか』となるのはよくあります。カセミロは余計なことはしないけど、それがいい。難しいパスも狙わないし、ボールをこねくり回すこともない。世界最高の選手たちが前線にいるんですから、あのチームにおけるベストな選択をしていると思います」

――誰もが気に留めないような、何気ないパスの選択によって、その先の展開が変わってくることもあると。

 「僕はやっぱりそっちのほうを見ちゃいます。ゴールが決まる決まらないだけじゃなくて、そこからの一手で相手がどう崩れるか。そういう見方をすると、サッカーは凄く面白くなるんじゃないかなと思います。ただ、FWの選手はそういう見方はしないんじゃないかな。だからストライカーの何が何でも自分で決めるという潔さみたいなのに憧れることもあります」

 

動画を見てプレーを分析する時には、笑顔の中にもまるでピッチに立っているかのような真剣な眼差しがのぞいていた


――そういう意味で、憲剛さんに見ていただきたいプレーがあります。J1第17節の阿部選手にアシストをしたシーンです。中盤で味方がボールを奪って、左サイドの憲剛さんにパスが出る。そこからドリブルで持ち込んで、GKと1対1でシュートを撃つと思ったら、ゴール前にパスを出しました。

https://www.youtube.com/watch?v=cNqGWT47u50

 「これはね、本当は自分で撃ちたかったんですよ」

――え、そうなんですか? 自分で撃てたけど、より確実性の高いパスを選んだのかなと思ったんですが。

 「もちろん、自分で撃つこともできました。でも、決まる確率が低いと思ったからパスを出したんです」

――どこで「自分でシュート」から「味方へのアシスト」へプレーの選択を変えたんでしょうか?

 「2つ目のタッチですね」

――2つ目、ですか?

 「よく見てもらうとわかるんですが、2つ目のタッチが微妙に外側にずれてしまってるんです。(動画を見ながら)ここ! 本当にわずかなんですけど。それでゴールに最短距離で向かえなくなってしまったんです」

――憲剛さんにしては珍しい。

 「こんなに全速力でドリブルすることがないので(笑)。ボールが向かって来た時は、ゴールに向かってドリブルをして、ファーにインサイドで流し込むようなイメージをしていたんですけどね。ただ、タッチがずれた瞬間にその選択肢は捨てました」
――映像を見る限りはシュートを撃とうとしているようにも見えます。

 「これは“フェイク”です。自分で撃てないんだったら、何をするのが一番ゴールに繋がる確率を高められるのか。ここで僕が最初からパスを狙っている感じだったら、GKや相手の選手は中に走り込んでいる阿部ちゃんのほうを警戒するはず。僕がシュートを撃つような雰囲気だったからGKは前に出て来たし、中のDFも僕が撃つと思っているからカバーをしようとするわけですから。自分のところに引きつけておくことで、阿部ちゃんがシュートを撃ちやすくなる」

――自分の思い通りのプレーができなかった時に、いかに次のプレー選択に切り替えられるかというのも重要ですね。

 「そうです。こういう技術的なミスもそうですし、相手が何をやってくるかも見ないといけない。最善の選択というのはどんどん変わっていきますから」

――試合展開によっても、最善の選択は変わりますか。

 「もちろん。基本的にはゴールに向かっていくという目的があって、そこから逆算してプレーを考えていくけど、それがすべてではない。例えば、チャレンジのパスを出すよりも、確実にパスを繋いで回した方が、相手にとっては嫌な時もありますよね。1-0で勝っていて、残り時間がもうないんだったら、パスを繋ぐよりも、とりあえずクリアしちゃった方が良いということもある」

――なるほど。

 「サッカーっていうのは、正解のないスポーツなので。時間帯によってもスコアによっても力関係によってもプレーの選択肢は変わってくる。大事なのは、どれだけ試合の状況を読んでプレーできるかだと思います」

――スコアや時間帯におけるプレーの選択ということで言えば、J1第3節・柏戦で、2-1とリードしていた70分に憲剛さんがドリブルをファウルで止められて、相手DFの中山雄太が1発退場になった場面が印象的です。そもそも、憲剛さんがああやってドリブルで仕掛けるのは珍しいですよね?

https://www.youtube.com/watch?v=_gwLQAUkvzA

 「あの時は、ポストプレーから良い形で抜け出して、僕が最前線でボールを持った状況になったんですよね。パスを出そうにも、自分の前には誰もいない。でも、相手陣内にスペースがあるし、DFは1人しかいないから、そこを抜ければビッグチャンスになるのは間違いない。どうしようかなと思いましたけど、股が空いているのも見えたから、思い切って仕掛けてみようと」

――あそこで退場に追い込んだことによって、柏の反撃のチャンスを摘んでしまった。ベテランらしい、老獪さを感じました。

 「僕が1番前にいるということは、自分の後ろには味方がたくさんいるということ。もしも失ったとしても、カウンターを食らう確率は低いですよね。だから、ある意味で失敗しても良いと思って仕掛けました」

――これまでのサッカー人生で、憲剛さんはどのぐらいの選択を下してきたんでしょうか?

 「どのぐらいだろう……。数え切れないでしょうね。1試合に何回決断をしているのかもわからないですし。サッカーって、自由だし、何をやってもいいじゃないですか。だからこそ選択って重要だし、それこそがサッカーの醍醐味なんじゃないかなと思います」

 2017年 9月 footballistaより

サッカー部 MUSANISTA #131 『 外に目を向けてみれば 』

 新型コロナウイルスの感染拡大がとどまるところを知らず、東京オリンピックはどうなるのか、様々な憶測が飛び交う中でこんなニュースが飛び込んできた。


「日本政府が東京五輪・パラの中止と結論」と英紙報道 2032年の開催目指す?
 
 【ジュネーブ共同】英紙タイムズ(電子版)は21日、今夏の東京五輪・パラリンピックを巡り、新型コロナウイルスの影響で「日本政府が中止せざるを得ないと内々に結論付けた」と報じた。
 「日本、コロナのせいで五輪脱出を模索」と題した東京発の記事。連立与党幹部の話として「既に1年延期された大会は絶望的だとの認識で一致している。今は次に可能な2032年大会の開催を確保することに焦点が当てられている」と伝えた。
 「誰も最初に言いたがらないが(開催は)難しすぎるというのが一致した意見」との情報筋の談話を紹介し、国際オリンピック委員会(IOC)と日本政府が表向きには五輪開催は可能と主張しているとした。
 大会組織委員会は英紙タイムズの報道について「政府、東京都、組織委、IOC、国際パラリンピック委員会(IPC)など全ての関係機関が、今年の夏の大会開催に完全に注力している。今夏の安全で安心な大会開催実現に向け、関係団体と緊密に連携し、準備に尽力する」とのコメントを発表した。

出典;東京新聞Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/81382


 実際にはどのような話になっているか、どのようになっていくか分からないが、大切なのはオリンピックが開催できるかどうかではなく、まずは新型コロナウイルス感染症終息に向け、精一杯努力できるかではないだろうか。近日は、こんなニュースも耳にする。


東京で新型コロナ変異種の市中感染か 英国滞在歴のない10歳未満女児

 厚生労働省は22日、東京都の10歳未満の女児が英国で拡大している新型コロナウイルスの変異種に感染したのを確認したと発表した。英国滞在歴はない上、滞在歴がある人との接触も確認できておらず、同省は「市中感染の可能性がある」として感染経路を調べている。
 ただし、これまで解析した都内の1400以上の検体からほかに変異種感染例が見つかっていないことから、厚労省の担当者は「面的に感染が広がっているとは考えていない」と述べた。
 女児に症状はないが、現在は都内の医療機関に入院している。
 このほか厚労省は、10日に英国から入国した30代女性の変異種感染も確認したと発表した。女性は13日に発症し、都内の医療機関に入院している。(共同)

出典;東京新聞Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/81498


 変異種が市中感染をしているかもしれないこの状況では、「自分が感染する可能性は低い」などと油断するのはやめて、「誰かが感染したらこの状況が長引いてしまう」「早くこの状況を収束させよう」とすべての人が自覚を持たなければならないと考える。
 第1波のとき、日の新型コロナウイルス陽性者は一桁まで少なくなった。緊急事態宣言の解除は「東京の一日の陽性者が500人未満」になるのが一つの指針のようだが、緊急事態宣言が解除されるのはいつの日になるのか。解除されたとして、その後の新型コロナウイルスの動向はどうなるのか。第4波が来るのか。これからも長い戦いになることを覚悟して、過ごしていかなければならない。

 

サッカー部 MUSANISTA #130 『 川崎のバンディエラ part1 』

 

 

 2021年元旦、天皇杯決勝戦。新国立競技場で行われた川崎フロンターレvsガンバ大阪の試合をもって18年間のプロサッカー選手にピリオドを打った中村憲剛選手です。紛れもなく日本を代表をする司令塔のひとりだと思います。正確なキックから繰り広げられる数々のスルーパス。試合を決定づける得点力。誰よりもピッチの上を走り回る豊富な運動量。チームを支える精神的強さ。ゴールパフォーマンスに見られるようなファンを楽しませるユーモアのセンス。誰からも愛され、フロンターレを誰よりも愛した「川崎のBKB(ボク カワサキの バンディエラ)」。今シーズンから中村選手のプレーをJリーグで見られなくなってしまうのは、本当に残念です。その中村選手が4年前にfootballista(雑誌)のインタビューにこのように答えていました。

 

——今回のインタビューでは中村憲剛が試合中にどんなことを考えながら、プレーを決断しているのかというのを聞きたいと思っています。試合中、実際に1本のパスを通したりシュートをするという時、どのぐらいの選択肢を持ちながらプレーしているものなんでしょうか?

 「それこそ、無数にしようと思えばできるんです。そこは難しいんですよね。開始直後なのかそれとも終盤なのか、勝っているのか負けているのか、(自分のいる)ゾーンはどこなのか……によって全部変わってくるので。ただ一つだけ、(選択肢が)1個だけにはしないようにしています。なるべく“決め打ち”はしたくないので、常に2、3個ぐらいは持っておくようにはしてますね」

——“決め打ち”というのは、「これをやろう」と最初から決めておくこと?

 「そうです。それをやってしまうと、ダメだった時に時間がかかってしまうので。ただ、ゴール前とかでは別です。ペナルティエリアの中でパスをもらった時は決め打ちすることもありますね」

——でも、基本的には2、3個ぐらいは用意していると。

 「そうです。相手がこちらの選択肢を消してきたとしても、それを上回れるように」

——ということは、一見何気なく出しているように見えるパスも、いくつか想定していたプランの中から選んでいる、という感覚なのでしょうか?

 「そういう時もありますし、ゲームの流れ、チームのボールの流れを止めないために、(プランにはなかったけれど)はたいて動かすこともあります。一番はゴールに向かうことだから。そこから逆算してプレーしないといけない」

——最短距離でゴールに向かう、というのがファーストチョイスとしてあって、それ以外の案も持っているということでしょうか?

 「そうですね。例えば、本当は(自分が)行きたいところにいる相手を移動させるために、あえてパスを出して動かしておいてそこに入っていく、みたいな。自分も意思があって相手にも意思があるので、それをうまくコントロールしながら、自分の突きたいスペースをあける。もちろん、いつも狙い通りにいくわけではないですけどね」

——なるほど。自分の理想の形に持っていくために、相手を動かすという選択肢があるわけですね。

 「僕がパスを出す時に、『こっちに出せ』とパスを受けた選手に『あっちが空いてる』とかやってるじゃないですか。それはもう次のプレーのイメージができていて、そこに入った瞬間に動き出す。ただ実際には、ちょっと(パスが)ズレて動き出せなくなって、それで選択を変えたり、動き方を変えたり。本当にちょっとのズレで局面はまったく変わってしまうので、そこはもう常に修正と選択の連続ですね」

——正しい選択をするためにやっていることはありますか?

 「それこそ試合前から、相手はどういうシステムで、どういうスタイルで、どんな特徴の選手がいるのかというのは頭に入れておきます。僕もキャリアは長いので、Jリーグの選手であればだいたいの特徴はわかりますから。そこで、どこを狙っていこうかと考えておきます」

——チームでスカウティングをやるだけじゃなくて、個人でもスカウティングをしていると。

 「僕以外にもやっている選手はたくさんいると思いますけどね。あとは、その情報を試合が始まってからアップデートしていく。前から奪いに来ているのか、ブロックを作ろうとしているのか。自分とマッチアップする選手がいたら、密着してくるのか、それとも距離を取ってくるのか」

 ——プレー中はめまぐるしく状況が変わっていくと思うのですが、どうやって把握しているのでしょうか?

 「ボールを持ってない時だったら、プレッシャーも何もないからいくらでも見られるじゃないですか」

——サラッと「いくらでも見られる」と言っていますが、普通の人には理解できない世界だと思うんですが……。それは憲剛さんが特別な才能があるからできるんでしょうか?

 「訓練次第でできるようになると思います。僕がずっとやっていたのが、遠くを見るようにすることです」

——「遠く」というのは具体的に言うと?

 「例えば、ピッチの真ん中にいるとしたら最終ライン、右サイドにいるとしたら左サイドの奥の方とか。そうやって遠くを見ておくと、自然と手前の方も見えるようになってくるんです。だから、パスをもらってサイドチェンジをしようかなと思って、そこがふさがれていたら一つ手前の空いているところにパスを出そうとか、そういうことができるようになる」

——それ、誰にでもできることじゃないと思います。

 「若くてもできるような選手はいるし、それはセンスだと思います。僕の場合は培ってきたというか、普段からそういう風にやろうとしていて、だんだん見えてきたという感じです。最初は遠くに蹴られるようになりたいなと思って、遠くを見るようにしていたら、だんだん見られるようになってきたというか

——それがいわゆる「視野の広さ」の正体なんでしょうか。

 「そうなのかもしれないですね」

——たまに、GKが出ている時にハーフウェイラインあたりからゴールを狙う選手がいますよね。

 「それはあんまりやらないですね。だって……ほとんど入らないでしょ(笑)。自分は、わざわざボールを失いたくない、正確にやりたいなというタイプなので」

——今はこうやって言葉にしてもらっていますが、試合中はそこまで考える時間はあるものなんでしょか?

 「う~ん。本当に瞬間的な判断だと思います。実際の時間からすると0.1秒とか0.2秒くらい。でも、自分としては、その時間の中でけっこう見えているという感覚はあります」

——0.1秒しかないのに、憲剛さんの中ではもっと長く感じる、と。

 「そうですね」

——ではここからは、憲剛さんがどのようにプレーを選択するのか、実際のシーンを見ながら解説していただきたいと思います。J1 2017年 第13節・浦和戦で阿部浩之選手に出したスルーパスです。

https://www.youtube.com/watch?v=egG08xRQDls

——このプレーを見てまず思ったのが、「いつ見てたの?」ってことなんです。だって、相手ゴールに背中を向けた状態で振り向きざまにワンタッチで出してるんですよ。ちょっと信じられない。

 「エドゥ(アルド)がボールを奪って、リョウタ(大島僚太)に出す。確か、その出す前に1回チラッと見たはず……(動画を見ながら)ここ! そこで、まず相手の最終ラインがどんな感じで、自分に来る選手がいるかを確認して。(動画を見ながら)ストップ! この時はリョウタに『こい、こい、こい!』って言ってます。自分の周りに(相手の選手が)いないのがわかっていたから、パスが来れば裏へ出せるチャンスがあるなと。それでパスが出た後に、前の状況がどうなっているかを見るために首を振ったら、阿部(浩之)ちゃんが相手CB2人の間に斜めに走り込んでいた。この時に、パスを出してシュートを打つっていう1秒後の絵が見えたんです。あとは僕がちゃんとパスを出すだけでした」

——会心の決断だったわけですね。

 「そうですね。本当に自分の思い通りでした。この試合の後に『あの1本で今日の仕事は終わった』って言ってましたからね」

——ちなみに他にも選択肢はあったんでしょうか?

 「最初はたくさん選択肢がありますけど、『自分にマークが来てない』→『DFラインの間が空いている』→『そこにFWが走りこんで来ている』と絞っていったイメージです。最終的にはゴールに行けると思っていたから、自信を持ってプレーを選びました」

——こういう、相手ゴールに向かってダイレクトにパスを出すのは、憲剛さんの得意技ですよね。

 「そうですね。だって、楽じゃないですか。1本のパスで点が取れるんだったら、それが一番いい。だけど、相手だってそこは警戒してくるので、簡単には通させてはくれない。だから横パスを出して揺さぶったりすることが必要になってくるんです」

——パスが通らなさそうだなと思っても出すことはあるんですか?

 「昔はダメそうかなと思っても出すことはありました。前の方に1人でシュートまで持っていけるジュニーニョのような選手がいた時は、その方が良い結果に繋がることが多かったんです。ただ、今は(成功確率が)フィフティフィフティでは出さない。それは(受ける選手の)能力が低いというわけじゃなくて、チームとしての方向性と言うか。オニさん(鬼木監督)は『出していい』って言ってくれているんですけど、より正確にやる方がいい、って30歳過ぎて自分の中で考え方が変わってきているので。逆に言えば、自分の中で『通せる』と思ってやっている。決して博打じゃないんです」

——パスを出す選手のキャラクターによって、プレーの選択肢も変わってくる?

 「全然変わってきます。例えば、さっきの阿部ちゃんへのパスの場面でも、もし足は速いけど、技術はあんまりないタイプの選手だとしたら、足下にピタッと出すのではなく、もっとスペースに走らせるようなボールにしていたと思います。阿部ちゃんの場合は、スピードを上げた状態でも確実にボールを止められるというのがわかっていたので、足下に出してあげるのが一番良いだろうと。そうやっていろいろな要素を頭に入れて決断をしています」

——1本のプレーに、ものすごい思考プロセスがあるんですね。

 「まぁ、後からだったら、いくらでも言えますから(笑)」

part2へ続く(次々回)➤

サッカー部 MUSANISTA #129 『 FCとSCの違い 』

 大宮武蔵野高校サッカー部の通称は'FC MUSASHINO'だ。顧問の阿部は、この'FC'についてこだわりがあると、昔言っていた。FC(フットボールクラブ)とSC(サッカークラブ)は、今ではほぼ同じような使われ方をしている。その違いをあえて挙げるとすれば、そのルーツだろう。

 フットボールは、Wikipediaによると、

『フットボール(英: football)は、チームスポーツの一群。程度の差はあるが、得点するために指定された相手陣地のゴールにボールを蹴り込む要素を含むチームスポーツの総称である。また、通常「フットボール」と呼ぶ場合、その地域で最も人気のあるフットボールの競技を意味する。日本で最も人気があるフットボールはサッカーであるが、サッカーを示すために単体でフットボールという用語はあまり使われずに、サッカーと呼ばれる。』

とある。ではなぜ、大宮武蔵野高校サッカー部があえて'FC'を使うのか。それは、その歴史にある。Wikipediaの「近代フットボールの確立」という項目には、

『フットボールは様々な形でブリテンの至るところで行われ続けていたが、パブリックスクール(その他の国での私立学校にあたる)は近代フットボール起こったことで広く認められている。まず初めは、パブリックスクールでそれまでの「群集」によるフットボールが、整理されたチームスポーツへと変化したことである。2つ目は、フットボールに関する初期の説明や言及の多くが、これらのパブリックスクールで学んでいた人物によって記録されたことである。3つ目は、パブリックスクールの教師、生徒、卒業生が、出身校間でフットボールの試合を行うことが出来るように、初めてフットボールの規則を法典化したことである。最後は、これらのパブリックスクールが初めて「キッキング」と「ランニング」(あるいは「キャリング」)を明確に分けたことである。』

さらに、
『イングランドのパブリックスクールでは、初めてフットボールの規則が法典化された。特に、18世紀末に彼らは初めてオフサイドルールを発明した。最も初期のこれらのルールでは、選手はボールと相手側のゴールの間にいる時は単純に「オフサイド off their side」とされた。選手は、足であろうと手であろうと前方にボールをパスすることは許されなかった。前方にボールを進める方法は足でドリブルするか、「スクラム」あるいは同様の「フォーメーション」の中で進めるかしかなかった。しかしながら、オフサイドルールはそれぞれのスクールで別に分化・発展していった。』

とある。この当時の「フットボール」は、手を使うことができ、いわゆる今日の「ラグビーフットボール」に近いものであったそうだ。現在でも、日本で「フットボール」といえばサッカーのことを指すが、アメリカ合衆国では、ほぼアメリカン・フットボールを意味し、カナダでは カナディアン・フットボールも表し、オーストラリアでは、地域によってラグビーまたはオーストラリアン・ルールズ・フットボールを表すそうである。

出典;Webページ『Wikipedia(フットボール)』の一部を抜粋
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB

 一方で、サッカーは、顧問の阿部に言わせると、「ブラジルのような速いパス回しやコンビネーション、個人技」が頭の中に浮かんでくるのだそう。ブラジルでは、子供のころから、道端でボールを蹴っては個人技を磨いていくイメージがある。遊びの中からボールタッチ、コンビネーションを磨くからこそ、将来ピッチに立った時に他の人には考え付かないプレーが見えてくることもある。また、国際的にはサッカーのことをFootballと表わす方が一般的である。そうでなければFIFA(Fédération Internationale de Football Association)も”FISA”になっていたはずだ。

 'FC MUSASHINO'が'FC'を用いるのは、サッカーのイメージのような「きれいな」「うまい」プレーを否定はしていないが、その中にもサッカーの源流であるラグビーのような「泥臭い」「身体をぶつけ合う」プレーを忘れてほしくないという気持ちが込められているからである。

(実は、顧問の阿部はもともとラグビーをやっていたそうです。ラグビーで役立つキックを身につけるためサッカーを始めたのですが、サッカーに魅了されサッカー1本で続けていくことに決めたそうです。そんなこともあり、今でもラグビーに近しい意味の「フットボール」という言葉を好んで使うそうです。)

 <FCを使用するチーム>

FCバルセロナ/FCバイエルンミュンヘン/アーセナルFC/リバープールFC/パリセンジェルマンFC/FCナント/セルティックFC/マンチェスターユナイテッドFC/マンチェスターシティーFC/ユベントスFC/FCインテルナツィオナーレミラノ/セビージャFC/FCシャルケ04/サンパウロFC/サントスFC/明和FC(キャプテン翼)など

<SCを使用するチーム>

SCインテルナシオナル/SCコリンチャンス/SCフライブルク/SCラインドルフアルタッハ/ポルティモネンセSC/SCブラガ/SCファレンセ/SCオリャネンセ/SCフェーレンヘーン/SCカンブール/SCバスティア/シャルルロワSC/南葛SC(キャプテン翼)など